外国産と国産牛の違いとは?
スーパーで売られている「外国産牛肉」や「国産牛肉」。買うときにどれを買えばいいか悩んだことはありませんか?外国産と国産をどう使い分ければいいか、わからない方も多いはず。そこで今回は、国産と外国産の味や価格の違い、おすすめの調理例などをご紹介します。
国産牛の特徴は?
日本国内で消費されている牛肉のうち4割が国産牛。国産牛はおもに「ホルスタイン」と「交雑種」の2種類があります。
ホルスタイン
ホルスタインは牛乳用に飼育されている品種です。一生で10回の妊娠・出産を繰り返し、乳の生産が落ちると食用として出回ります。日本では基本的に乳牛として育てられていますが、ヨーロッパなどでは乳牛と肉牛、両方の目的で飼育されています。
交雑種
交雑種はホルスタインなどの乳牛と肉牛との間に生まれた子牛のこと。子牛がメスだと乳牛になり、オスであれば肉牛として育てられます。成長が早く病気にも強いため、育てやすく、安定した供給ができます。スーパーで売られている国産牛はほとんどが交雑種です。交雑種は食感や肉質に和牛のいいところを取り入れつつ、安く手に入るというメリットがあります。
国産牛のエサはとうもろこしや稲わらなどの穀物。オリジナルの飼養法と飼料により、国産牛には「ラクトン」という香り成分が豊富に含まれます。加熱すると甘い香りがして、しゃぶしゃぶやすき焼き、ステーキなどにぴったりです。キメが細かくやわらかい食感で、霜降りが多いのも外国産牛肉にはない特徴です。
国産牛は外国産と比べるとどうしても割高ですが、やわらかくてジューシー。少し贅沢したいときにおすすめです。
外国産の牛肉はどこからが多い?
日本で消費される牛肉のうち約60%が外国産です。オーストラリア産が一番多く、外国産牛肉の約6割を占めています。アメリカが2割で、そのほかカナダやニュージーランド、アルゼンチンからも輸入しています。
外国産牛肉はギュッと引き締まった肉質をしており、赤身のうまみが強いことが特徴。海外の方は日本人に比べて霜降りが苦手な人が多く、上質な赤身肉を作ることに力を入れています。脂っこいものが苦手な人や健康志向の方におすすめです。
国産牛より価格が安いので気軽に購入できるのもうれしいところ。しかし外国産牛肉といえば硬いイメージがある方も多いでしょう。最近は日本人向けに、やわらかく臭いも抑えた牛肉が作られるようになりました。
硬さが気になる場合には、キウイやパイナップル、舞茸など「タンパク質分解酵素」を含んだ食品に漬け込むとやわらかくなります。また、ヨーグルトに漬け込むと乳酸が筋繊維をほぐして肉質がやわらかくジューシーになるのでおすすめです。
そもそも国産牛の定義は?
国産牛の表記の仕方
出典:牛肉トレーサビリティ法
国産牛とは「日本国内で育った期間が最長の牛」のこと。そのため、外国で生まれ育っても、3か月以上国内で飼育されると国産牛になります。たとえばオーストラリアで生まれて4ヵ月過ごし、日本で16ヵ月育てられた生後20ヵ月の牛がいるとします。この牛は日本で育った期間が長いので「国産牛」と表記できるのです。
食品表示基準が設けているルールでは、都道府県名をブランド名に盛り込んで表記すれば、「国産」と書かなくてもいいとされています(もちろん国産牛に限る)。神戸ビーフは地名である「神戸」がブランド名に入っているので「国産」と表記しなくていいという仕組みですね。
個体識別で確認できる
出典:家畜改良センター
国内で飼育されている牛には牛トレーサビリティ法にもとづいて、「個体識別番号」なる10桁の数字が割り当てられています。個体識別番号は値札のシールに記載されていて、購入した牛肉の情報を調べることが可能です。個体識別番号を家畜改良センターのWebサイト「牛の個体識別情報検索サービス」で番号を入力し検索すると以下の項目が確認できます。
・生年月日
・雌雄の別
・母牛の個体識別番号
・種別(品種)
・飼養場所の履歴
これらの情報から牛が輸入された国、どの地域(都道府県)で肥育されたのか、牧場名などを知ることができます。国産牛を購入した場合は1度確認してみましょう。
外国産アメリカ牛とオーストラリア牛の特徴
アメリカ産牛肉の特徴
牛肉は飼育方法やエサによって肉の味が大きく変わります。アメリカで育てられる牛には「グレインフェッド」と「フィードロッド」の大きく分けて2つの飼育方法があります。それぞれの特徴を解説します。
【グレインフェッド】
とうもろこしや大豆、小麦などの穀物を中心とした栄養価の高いエサで育てる方法。臭みがなくやわらかい肉質になります。主にやわらかい肉質が好きな日本人向けに生産されています。
【フィードロッド】
牧場で育てられた牛を集中肥育施設に移し、濃厚飼料をあたえて育てる方法です。ほどよい脂肪がつき、やわらかい肉質の牛へと変わっていきます。価格が安いので牛丼や焼肉のお店などでよく使われます。
2020年1月にアメリカ産牛肉の関税が引き下げられ、アメリカ産のものがスーパーで非常に安く買えるようになりました。食べ盛りのお子さんがいる家庭にはうれしいですね。
オーストラリア産牛肉の特徴
日本で多く消費されているオーストラリア産のオージービーフ。ファストフードのチェーン店のほとんどでオーストラリア産の牛肉が使われています。オーストラリアでは牧草や干し草を食べて育てる「グラスフェッド」という飼育方法が主流です。
オーストラリアの雄大な自然を利用してのびのびと育てられた牛は、運動量が多いので脂肪分が少なく、赤身の味が濃厚です。
オーストラリアではグラスフェッドが一般的な飼育法でしたが、最近では日本人向けに穀物で育てる「グレインフェッド」も増えてきています。
また、肉質が硬いので、煮込み料理やミンチにして使うのに向いています。
実は日本で食べられている牛タンのほとんどがアメリカ産
実は仙台などで食べられる牛タンの多くが外国産(米国産)が多いんです。国産のブランド牛などのタンはとても希少のため高額かつなかなか手に入らないですが、アメリカ産の牛タンは質もよく、値段も手ごろなため人気が高いです。
味もブランド牛の牛タンと厳選したアメリカ産の牛タンではほとんど味の違いは変わらないので、美味しくお得に楽しめます。
輸入牛のにおい
スーパーなどで購入した輸入牛。調理時などに、「少し “独特のにおい” が気になる・・・」という方もいらっしゃるのでは?
その際、「肉の鮮度が落ちている?」「腐りかけ?」など、少々疑心暗鬼になることもあるでしょう。例えば鼻につくようなヨーグルト臭がしたり、手触りがヌルッとしている、糸をひくなどの状態であれば、傷んでいる可能性が高いです。
しかしそうでない限りは、低品質であるとか、鮮度が落ちているなどではありません。
この外国産牛肉の”独特のにおい”は、牛の肥料が大きく関わっています。先にもご紹介した、牧草や干し草を食べて育てる「グラスフェッド」の場合、牧草が生えている土に含まれるミネラル分がにおいの元になっているのです。むしろ栄養分が含まれているというサインともなるのです。もしもにおいが気になる場合は、ハーブやスパイスなどで香りをつけると美味しくいただけますよ。
外国産牛肉は国産牛肉よりもやや安価であるため、「外国産牛肉=安い=独特のにおい=品質が悪い」というイメージが蔓延していますが、これは完全に誤解なのです。
まとめ
外国産牛肉と国産牛肉の違いをご紹介してきました。外国産の牛肉はオーストラリア産とアメリカ産のものがほどんどです。価格の安い外国産は脂身が少なくてヘルシーですが、少し硬いというデメリットも。調理方法をうまく工夫して美味しくいただきましょう。国産牛肉は日本で育った期間が長い牛のことをいいます。少し割高ですが、やわらかくてジューシーです。それぞれの特徴をおさえて、好みのものを選びましょう。