全国的にネームバリューのあるブランド牛ももちろん良いですが、たまには各地に存在する”知る人ぞ知る”ブランド牛に目を向けて、実際に口にしてみるのも良いものです。
今回の記事では、肉質・味・香りのバランスが絶妙な「幻の牛 伊賀牛」のバラ肉にフォーカスします。
数ある部位の中でも、バラ肉は様々な料理への汎用性に富んでいる便利食材。伊賀牛バラ肉の味や食感が気になる方、バラ肉を使ったレシピのレパートリーを増やしたい方はぜひ参考にしてくださいね。
三重の豊かな自然が育む『伊賀牛』
三重の豊かな自然が育む伊賀牛は、バランスのいい肉質と風味が評判を集めるブランド牛です。伊賀牛は松阪牛よりも歴史が古く、鎌倉時代の書物には人々の生活を支える役牛として記載されています。その後、明治時代になると、伊賀牛は東京に持ち込まれ全国にその名を轟かせました。
寒暖差の厳しい環境で独自のブレンド飼料により肥育された伊賀牛は、赤身と脂肪のバランスが良く、脂っぽくない味わいが特徴です。その美味しさから「肉の横綱」といわれており、ファンが多いのも納得ですね。
先で触れた「幻の牛」という呼称ですが、これは伊賀牛のほとんどが伊賀地域で消費されるため、このような表現が用いられているのです。出荷頭数は年間を通して約1,300頭。同じく三重県を代表する松阪牛は7,400頭ですから、いかに出荷頭数自体が少ないかは一目瞭然ですよね。
その1,300頭のうち8割は「伊賀産肉牛生産振興協議会」で認定された伊賀管内の精肉店18店舗で販売されているという状況です。こういった背景が、伊賀牛の希少性を高めている要因となっています。
伊賀牛バラ肉について
伊賀牛の中でも気軽に料理に使えるバラ肉について説明します。バラ肉の基本情報だけでなく、カロリーや栄養素、価格相場まで説明するので、参考にしてくださいね。
バラ肉ってどんな部位?
バラ肉はあばら骨付近に位置するお肉です。カルビもバラ肉の1つですね。ナカバラ、外バラ、肩バラの3種類に分けられます。
具体的な部位は以下の通りです。
・ナカバラ:ヒレの下のあばら骨付近
・外バラ:ナカバラの下にあり、下腹部付近
・肩バラ:肩ロースの下の部分
味や食感の特徴
どの部位につけても伊賀牛はバランスの良い味ですが、なかでもバラ肉は赤身と脂肪が絶妙な割合を誇っています。部分によっては少し霜降りが多めな場合もありますが、その分脂の旨味をより感じることができます。かといってイヤな脂のギトギト感があるわけでもなく、一般的なカルビよりもさっぱりした口当たり。奥深いコクと香りも堪能できます。
食感はとろけるような柔らかさが特徴。霜降りの脂が溶けだせば、よりしっとり感が増します。繊細な肉質を楽しんでくださいね。
バラ肉のカロリー、栄養素
可食部100gあたりのバラ肉のカロリーと栄養素は次の通りです。
カロリー | 472kcal |
タンパク質 | 11g |
脂質 | 50g |
糖質 | 0.1g |
※肉類/<畜肉類>/うし/[和牛肉]/ばら/脂身つき/生の数字になります。
100gあたりの参考価格
伊賀牛バラ肉の100gあたりの参考価格は、1,000~3,000円ほどです。
肉のグレードにより価格差がありますが、ブランド牛のなかでは比較的お買い求めやすい価格です。
バラ肉は薄くスライスされていることが多いので、100gでも食べ応えは十分。数百グラムを小分けにして、様々な料理に少しずつ使うこともできるので、非常に便利ですね。
伊賀牛バラ肉で作るおすすめレシピ
最後に伊賀牛バラ肉を使ったおすすめレシピを3つ紹介します。どれもさっと作れて美味しいものばかりなので、トライしてみてくださいね。
牛丼
バラ肉料理の定番である牛丼の作り方は次の通りになります。
【材料】(2人分)
・牛バラ肉薄切り:200g
・玉ねぎ:1個
・白飯:500g
【A】
・だし汁:300ml
・醤油:大さじ3
・みりん:50ml
・酒:小さじ2
・砂糖:大さじ1と1/2
・S&Bおろししょうが:大さじ1
【作り方】
1.牛肉は4-5cm長さに切ります。玉ねぎは縦半分に切り、繊維に沿って5mm厚さのせん切りにします。
2.【A】と1をフライパンに入れて火にかけ、煮たってきたらアクを取り除き、火を弱めてふたをして5分ほど煮ます。ふたを取り、煮汁が少し残る程度まで5-6分煮ます。
3.白飯を丼に盛り、2を上に盛ります。
自ら作ればつゆだく加減も自由に調整できます。伊賀牛の旨味が溶け込んだつゆだからこそ、たっぷりかけて楽しんでくださいね。
なおこの牛丼ですが、冷凍保存も可能です。ある程度たくさん作り置きしたら、1食分に小分けにして冷凍すれば、食べたい時にすぐに食べられますよ。
牛バラ肉とにんにくの芽の炒めもの
出典:レタスクラブ
牛バラ肉とにんにくの芽の炒めもののレシピは、次のようになります。
【材料】(2人分)
・牛こま切れ肉:160g
・にんにくの茎:120g
・玉ねぎ:1/2個
・にんにく:1/2片
・赤とうがらし:1本
・オイスターソース:大さじ1
・ごま油、塩、こしょう:適量
・しょうゆ:小さじ2
・酒:大さじ1
【作り方】
1.にんにくの茎は5cm長さに切る。玉ねぎ、にんにくは薄切りにする。とうがらしは種を取る。
2.フライパンにごま油大さじ2を熱し、にんにく、とうがらしを炒め、香りが出てきたら玉ねぎを加える。玉ねぎがしんなりしたら牛肉を加えて塩、こしょう各少々をふる。にんにくの茎、オイスターソース、しょうゆ小さじ2、酒大さじ1を順に加え、炒め合わせる。塩、こしょうで味を整えて、仕上げにごま油少々。
スタミナがつく食材が豊富に使われています。食欲が落ちやすく肉を避けがちな夏でも、伊賀牛の風味とスタミナ食材のおかげで美味しく食べられますよ。
ハッシュドビーフ
ハッシュドビーフのレシピは次のようになります。
【材料】(2人分)
・牛バラ肉:160g
・塩:少々
・胡椒:少々
・砂糖:小さじ2強
・バター:16g
・タマネギ<薄切り>:1と1/3個(200g)
【きのこA】
・エリンギ<短冊切り>:1/2パック弱(40g)
・シメジ<小房に分ける>:1/3パック弱(40g)
・マッシュルーム<(缶)水気を切る>:20g
・薄力粉:大さじ1弱
・ワイン(赤)1/2カップ(100ml)
【調味料B】
・トマトピューレ:200g
・ウスターソース:小さじ4強
・コンソメ:小さじ1/2強
・塩:少々
・胡椒:少々
・ご飯:400g
・粉パセリ:適量
・生クリーム:小さじ1強
【作り方】
1.牛肉は3cm幅に切り、塩・胡椒・砂糖で下味をつける
2.フライパンでバター半量を中火にかけ、タマネギをしんなりするまで炒める。その後【きのこA】を加えて炒め、鍋に移しておく
3.2のフライパンで残りのバターを中火にかけ、牛肉の色が変わるまで炒めて、小麦粉を加え粉っぽさがなくなるまで炒める
4.3に赤ワインを加えて混ぜ、2の鍋に全て移し、中火にかけて煮立ったら【調味料B】を加える
5.蓋をして弱火で15~20分煮込み、塩・胡椒で味を調える
6.お皿にご飯を盛り、粉パセリをふって4を盛りつけ、生クリームを飾る
作るのが難しいイメージのある洋食でも、手順を守れば簡単に完成します。普通の牛肉を伊賀牛に変えるだけで、コクと旨味が増すのでおすすめです。
まとめ
伊賀牛バラ肉はどの料理にも相性が良く、使いやすいのが特徴です。赤身と脂のバランスがちょうど良い塩梅なので、肉本来の旨味とさっぱりした後味の両方を堪能することができます。
価格は100gで1,000円~なので、ブランド牛の中でもコストパフォーマンスに優れています。ブロック肉や希少部位であれば特別な日に食べたいところですが、伊賀牛バラ肉であれば普段の料理を少しアップグレードさせたいときにでも都度使えるので、気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。