牛肉のランクとは?購入前に格付ランクの基準と違いを知ろう!

牛肉のランクについて説明

日本には生産者が大切に肥育した黒毛和種や地域の特色を出したブランド牛が数多くあります。そんな牛肉にはランク付けがあります。今回は格付けランキングの基準をご紹介!
 

ツナガル行政書士
 

牛肉のランクとは?

ストレスフリーで育つ牛

牛肉を買うとき、「最高級A5ランク牛肉」と書かれているのを目にすることがあります。A5とはどういう意味なのか、ランクとは何か疑問に思ったことはありませんか?

「牛肉のランク」=「牛肉の品質」です。ランクを格付しているのは、「公益社団法人日本食肉格付協会(JMGA)」。農林水産省の承諾を得た基準によって、専門家である食肉格付員が客観的に判定しています。

基準に基づいて評価するため公正で健全な流通や、適正価格での取引が可能となります。そのため、安心して購入するために、規格を整備した格付は消費者にとってとても重要です。

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ランクの判断の基準は見た目で味ではない

A5ランク牛肉

例えばA5ランクの牛肉は、「値段も高く、味も最もおいしい」と一般的に考えられています。実はランク格付の判断基準は「見た目」であり、味わいではありません。

ランクはアルファベットと数字を組み合わせ、「A5」「B3」などと表記されます。アルファベットは「歩留(ぶどまり)等級」、数字は「肉質等級」です。

「歩留等級」「肉質等級」とも、「枝肉」に処理した牛肉を、食肉卸売市場や食肉センターなどで格付します。枝肉とは、皮や内臓、頭部、血液などを取り除き、さらに縦半分に左右にカットしたものです。

では「歩留等級」と「肉質等級」について、それぞれ具体的に見てみましょう。

 

歩留(ぶどまり)等級とは

歩留等級とは、「牛1頭から、どのくらい食肉が得られるか」を予測した区分です。

歩留等級は枝肉の左側、第6・7肋骨間で切断した面の「ロース面積・バラの厚さ・皮下脂肪の厚さ」の計測値で判断します。これらの数値が高ければ高いほど、牛1頭全体からたくさんのお肉が取れるということです。

A~Cの概要

歩留等級は、A・B・Cの3段階に分けられ、Aが最も良くCが最低です。歩留基準値の算式によって求められた数値で判定され、72以上がA、69以上72未満がB、69未満はCとなります。

 

肉質等級とは?

肉質等級は「脂肪交雑」「肉の色沢」「肉の締まり及びきめ」「脂肪の色沢と質」の4項目をそれぞれ評価し、総合的に等級を判定します。等級には5~1までの5段階があり、最も良い等級は5です。

等級は、4項目の最も低い等級で決定されます。例えば脂肪交雑も肉の色沢、肉の締まり及びきめが4でも、脂肪の色沢と質が3であれば「3等級」です。

脂肪交雑

「脂肪交雑」とは霜降りの程度を表すものです。「脂肪交雑基準 Beef Marbling Standardビーフ・マーブリング・スタンダード(B.M.S.)」によって12段階で評価し5等級に区分します。

等級 B.M.S.
5 かなり多い No.8~No.12
4 やや多い No.5~No.8
3 標準 No.3~No.4
2 やや少ない No.2
1 ほとんどない No.1

 

肉の色沢

肉の色と光沢を「牛肉色基準Beef Color Standardビーフ・カラー・スタンダード(B.C.S.)」に基づき、No.1~7の7段階で評価します。光沢は目視で評価し、肉色の判定の数値と合わせ等級を付けます。

等級 B.C.S. 光沢
5 かなり良い No.3~No.5 かなり良い
4 やや良い No.2~No.6 やや良い
3 標準 No.1~No.6 標準
2 標準に準ずる No.1~No.7 標準に準ずる
1 劣る 等級2~5以外

 

肉の締まり及びきめ

牛肉の締まり具合やきめの細かさを格付員が目視で評価します。

等級 締まり きめ
5 かなり良い かなり細かい
4 やや良い やや良い
3 標準 標準
2 標準に準ずる 標準に準ずる
1 劣る 粗い

 

脂肪の色沢と質

脂肪の色は「Beef Fat Standardビーフ・ファット・スタンダード(B.F.S.)」の7段階の基準値を用い、光沢と質は目視で評価します。

等級 脂肪の色 光沢と質 
5 かなり良い No.1~No.4 かなり良い
4 やや良い No.1~No.5 やや良い
3 標準 No.1~No.6、 標準
2 標準に準ずる No.1~No.7 標準に準ずる
1 劣る 等級2~5以外

 

歩留等級と肉質等級を合わせて格付結果がでる

歩留等級「A・B・C」と肉質等級「5・4・3・2・1」を合わせたものが格付け結果で、15ランクに仕分けされます。

歩留等級 肉質等級
5 4 3 2 1
A A5 A4 A3 A2 A1
B B5 B4 B3 B2 B1
C C5 C4 C3 C2 C1

出典:公益社団法人 日本食肉格付協会HP

最高ランクはA5で「牛1頭からたくさん食肉が取れて、霜降りが多く、締まりや色つやなどのよい肉」ということになります。

最低ランクはC1で「牛1頭から取れる食肉の量は少なく、霜降りも少ない、締まりや色つやはあまりよくない」ということです。しかし、煮込みやハンバーグに使うなど料理方法によって牛肉のうま味を生かすことができます。

お肉をチョイスする際のひとつの目安となるのが、牛肉のランクです。霜降り多めが好きな方は、肉質等級ランクが上のものを選び、霜降り少なめが好きな方は、等級が低いものを選ぶといいですね。

 

【番外編】アメリカンビーフの等級って?

もちろんアメリカンビーフにもグレードがあります。この格付けシステムは、米政府(米国農務省)が導入しているものです。

米農務省(USDA)の検査官によってグレードが分けられるのですが、その基準は「牛の種類」、「成熟度」、「サシ(霜降り)の入り具合」、「性別」という4つの要素から成り立ちます。

「プライム」
「コマーシャル」
「チョイス」
「ユーティリティ」
「セレクト」
「カッター」
「スタンダード」
「キャナー」

本国アメリカでは上記8等級に分けられますが、現在日本に輸入されている等級は “プライム” 、 “チョイス” 、 “セレクト” のみとなります。

プライム:柔らかさ、ジューシーさ、風味において最高級。脂肪のつき加減も豊富。
チョイス:プライムと比べると脂肪の付き加減はやや少ないですが、高品質。
セレクト:赤身の割合が多い。わりと低脂肪・低カロリーで、価格も3つの中ではリーズナブル。

スーパーで輸入牛、特にアメリカンビーフを選ぶ際は、等級を確認してみるのも面白いですね。

 

 

高ランク牛肉のおすすめの食べ方

高ランク牛肉でしか味わえない霜降りのうま味を堪能できる、おすすめの食べ方を解説します。

焼肉

高ランク牛肉の焼肉

焼肉は、「カルビ」や脂肪交雑の多い「肩ロース」の薄切りが向いています。「そともも」は良く運動する部分なので、少し固めですが脂肪が少なめ。脂肪分を控えたい方におすすめです。

焼き方・味付け

肉そのものを味わうため、下味を付ける必要はありません。鉄製フライパンやホットプレートでさっと焼いて、熱いうちに塩を少し付けていただきます。塩がお肉の味を引き立て、口の中もさっぱりさせてくれます。藻塩や岩塩など、いろいろなお塩で試してみるのもいいですね。

高ランク牛肉は、霜降りが多めです。せっかくの脂肪分が溶けてしまうので、焼きすぎないように気を付けてください。

 

 

焼きしゃぶしゃぶ

焼きしゃぶしゃぶ

「焼きしゃぶしゃぶ」は、さっとあぶった薄切り牛肉を、塩やポン酢でいただくお料理です。「肩ロース」は脂肪交雑が入りやすく、霜降りを堪能できます。

焼き方・味付け

しゃぶしゃぶ用に薄切りにした牛肉を、あらかじめ温めたフライパンやホットプレートなどでさっとあぶります。牛脂を引くとお肉がくっつきにくくなります。

塩やポン酢でさっぱり食べられるので、多少脂肪分が多くても気になりません。お好みでレモンやカボスの絞り汁を付けてもおいしいです。キノコや玉ネギ、パプリカなどお好みの野菜も一緒に。

 

 

ステーキ

希少部位のステーキ

やわらかくキメが細かいサーロインや霜降りの多いロース、ランプ、ヒレがステーキにおすすめ。特にヒレは牛1頭の肉のうち、わずか3%しかとれない希少な部位です。

焼き方・味付け

お肉の中心部の温度を早く上げるために、焼く前に常温に戻します。冷蔵庫から出した直後の冷たい状態で焼かないようにしましょう。

フライパンはあらかじめ熱し、牛脂を溶かしておきます。焼く直前に、牛肉に塩コショウしてください。しょうゆやポン酢などでさっぱりいただくのがおすすめです。

ステーキの焼き加減は、レア・ミディアムレア・ミディアム・ウェルダンなどがあります。参考までに、厚さ約2センチの牛ヒレを焼く時間の目安は次の通りです。両面とも焼いてください。

  • レア:強火で約30秒、弱火で1分程度
  • ミディアムレア:強火で30秒、弱火で1分30秒程度
  • ミディアム:強火で30秒。弱火で2分程度
  • ウェルダン:強火で30秒、弱火で2分半程度

 

 

まとめ

牛肉のランクとは、いわゆる「牛肉の品質」のこと。判断基準は”味”ではなく、あくまで”肉の見た目”で評価しています。霜降りの状態で見ると、A5やA4などの高ランク牛肉は多めで、低ランクの牛肉は少なめです。つまりランクで「おいしい、おいしくない」と言い切れるわけではありません。

霜降りたっぷりの牛肉を食べたいときは、高ランクの牛肉を選ぶことがおすすめです。ご家庭で味わうときは、焼肉や、焼きしゃぶしゃぶ、ステーキなどシンプルな調理方法でうま味を堪能してください。