牛肉の『個体識別番号』ってなに?
スーパーで販売されている牛肉にもついている個体識別番号。読んで字のごとく、牛の個体を識別するための番号だろうけど、どういった仕組みで番号が割り振られているのか?
どうして個体識別番号を表示する必要があるの?
個体識別番号は何の目的で使用される番号なの?
など、詳しい目的や用途などまではご存知ではない方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな個体識別番号をつける目的や運用方法、個体識別番号をつけるきっかけなどについてご説明していきます。
個体識別番号(ロット番号)とは
出典:18.pdf
「牛トレーサビリティ法」のもと、10桁の番号を個体識別番号として日本国内で飼育される牛に割り当てることが現在義務付けられています。またそれぞれの牛の耳には、その番号が記された札(耳標)が付けられています。牛を想像した際に、この耳標が装着された牛をイメージする方も多いはずです。
この個体識別番号は、牛の生産〜流通〜小売という流れのなかで一貫して伝達されるという運用がなされています。
牛は生まれる、もしくは外国から輸入されると同時に、行政法人家畜改良センターへ個体識別番号が届け出され、牛の耳にその個体識別番号が記載された耳標を取り付けます。この取り付けられた耳標は確認しやすいように装着することが義務付けられているほか、簡単に取り外すことも禁止されています。万が一外れてしまった場合などは、再度個体識別番号を届け出る必要があるなど、かなり厳格に管理されています。
そして牛の個体が転出する際のやり取りでは全てこの個体識別番号を使用し、家畜場や産地食肉センターでの情報を再度家畜改良センターへ届け出ます。その後、メーカーや小売店などでもこの個体識別番号でやり取りし、最終工程でもある消費者の手に渡るまでのデータを、この個体識別番号を使用してデータベースで一元管理しています。
また、同じような番号にロット番号と呼ばれるものがありますが、ロット番号は14桁の識別番号になります。ロット番号は50頭以下の牛の牛肉を原料とした製品に表示することになっています。このロット番号からそれぞれの牛の個体識別番号を割り出すことも可能となっています。
この個体識別番号は専用のサイトで検索することによって、牛の個体の情報などを確認することが可能です。主にこの制度は食の安全を維持する目的があります。
導入の背景
では、この個体識別番号はいつ始まったものなのでしょうか?
この個体識別番号を使用した牛の個体識別システムの登場は、2001年(平成13年)9月、当時世界的に話題になっていた牛海綿状脳症(BSE)が日本で初めて確認されたことがきっかけです。このBSEを拡散しないための緊急対策として全国の全ての牛に対して番号を割り振り、その番号を札として牛の耳に装着し、各個体の生産や異動情報の管理をする目的から始まったものになります。
そして、3年後の2004年(平成16年)12月からは生産や移動情報だけではなく、市場へ流通過程の牛肉に対しても個体識別番号の伝達や、その個体識別番号を記録する仕組みが構築されています。この時からスーパーなどに並ぶ商品ラベルなどにも個体識別番号が表示することが義務付けられました。
個体識別番号の活用
個体識別番号によって、牛や牛肉は生産工程から消費者の手に渡る流通工程まで管理されています。そのため、牛肉の生産情報やスーパーや料理店に並ぶまでにどういった流通経路を辿って生きたのかを確認することが可能です。このことから消費者は牛肉のトレーサビリティ(生産及び流通の履歴情報の確認)が可能になり、生産者は消費者に対して産地偽装などなく、安心安全な牛肉であることを証明することにもつながっています。
個体識別番号は、スーパーなどで販売されているパック商品には商品ラベルや商品表示欄に、精肉店などの対人販売の場合ではショーケースのプライスカードや店頭ボードなどでの表示、焼肉店やステーキ店などでは店頭ボードやメニュー欄にそれぞれ表示する義務があります。
また、例外として牛肉を原料とする牛肉加工品(ソーセージ、味付け肉やこま切れ肉など)は表示義務の対象外となっております。
また、個体識別番号から生産地や生産者などの情報を確認することができるので、日本でも一定数発生してしまっている生産地の偽装やブランド牛の偽装などは、この個体識別番号の運用によって未然に防がれることもあります。
こういった牛肉に関わる多くの方の努力によって、今わたしたちの食卓に並んでいる牛肉の安心と安全は守られています。
個体識別番号の検索
牛の個体識別情報検索サービスは、独立行政法人家畜改良センターが運営しているWebサイトより検索することが可能です。
10桁の個体識別番号を入力することによって、その牛が生まれた日付、性別や出生場所、生産者の情報や性別、牛の種類などをホームページで確認することが可能です。
ちなみに、商品の表示ラベルに表示される産地というのは生まれた場所ではなく、もっとも長い間飼育された施設のある場所になります。これは法律で定められているためです。
なので、外国で生まれ一定期間日本で飼育され、日本での飼育期間が外国での飼育期間よりも長い場合には「国産牛」として商品ラベルに表示することが可能です。こちらの内容に関して、興味のある方はぜひネットで検索してみましょう。
まとめ
今回は牛の個体識別番号についてご説明しました。どうして個体識別番号を使用する必要があるのか、個体識別番号の割り振り方、個体識別番号をつけないといけなくなったきっかけなどについてはご理解いただけたはずです。
また、個体識別番号を生産者、畜業者や産地食肉センター、卸業者やスーパーなどに関わるたくさんの人が管理することによって、牛肉の種別やどのように飼養されてきたかなどを把握でき、わたしたち消費者が安心安全に牛肉を食卓に並べることができているということもご理解いただけたことでしょう。
ぜひ皆さんも、一度スーパーなどで牛肉を見かけた際には、商品ラベルを確認して個体識別番号を検索サイトでサーチして、その牛肉がどのように生産されてきたのかを確認してみてください。