輸入牛と国産牛との違いとは?

輸入牛と国産牛の違いについて解説

 

ツナガル行政書士
 

輸入牛と国産牛との違いとは?

様々な調理法で美味しく食べることができる「お肉」。輸入牛・国産牛ともに口にする機会が多いと思いますが、この2つの違いは一体何なのでしょう。

違いを知ることでお肉をもっと美味しく食べる秘訣が分かる。ということで、この記事では輸入牛と国産牛の違いについて分かりやすくご紹介します。

 

 

牛肉を買うなら国産?輸入?

国産?輸入?

スーパーに買い物に出かけると、国産牛と輸入牛が並べて販売されていますが、どちらのお肉を手に取ることが多いでしょうか。品質的に言えば国産牛の方が安心して食べられるというイメージがあります。

一方、安く購入できると考えれば輸入牛を選ぶという人もいます。とは言っても、輸入牛が決して品質が悪いとは言えませんし、同一価格の国産牛に比べると多い量が手に入るため、”経済的に”という観点を考慮すると、選ばれる理由も納得できます。

 

日本で食べられる輸入牛肉

日本への輸出比率グラフ

では、日本で食べられている輸入牛肉にはどのような種類があるのでしょう。普段何気なく選んでいる輸入牛肉ですが、輸入される国によって飼育される方法や肉質も異なるようです。そんな輸入牛肉について、ここで詳しく説明します。輸入牛肉の違いを知ることで、今後、お肉を選ぶ参考にもなりますので、ぜひチェックしてみてください。

 

アメリカ

アメリカ国内では、約1億頭の牛が飼育されています。その内1年間で出荷されるのは約3,500万頭。地図を見ても分かるようにアメリカは広大な土地に恵まれており、それを有効活用して牛を飼育する方法、いわゆる「自然放牧」での飼育が基本です。

豊かな自然の中で、牛を自由にストレスなく飼育しているように感じますが、自然放牧を行うと繁殖も自然勾配となってしまうため、牛の月年齢を把握するのが難しくなるというデメリットも。そのため日本へ輸入される場合は、あらゆる検査を実施し、その検査をクリアした牛肉のみが輸入できるという、厳しい措置が取られています。とはいっても、日本へ輸入されるアメリカ牛肉が少ないということはありません。

2018年度に実施された「米国食肉輸出連合会」の国別牛肉輸入量に関する市場調査によると、日本へ輸入されているアメリカ牛肉は実に41%。厳しい検査がありながらも、日本はアメリカ牛肉を受け入れているという結果でもあります。

 

オーストラリア

「オージービーフ」という愛称で親しまれ、日本で食べられる輸入牛肉の中で最も多いのがオーストラリア牛肉。国別牛肉輸入量でも、51%の割合を占めています。

オーストラリアは海に囲まれた乾燥地帯ということで、「牛が病気になってしまった」という報告は現在まで1件もないほど、徹底的に安全性を管理。

牧草だけで肥育される牛肉は、脂質が少なくとてもヘルシーです。最近では、穀物を与える飼育方法によって、日本人好みの「霜降り肉」として、人気も上向き傾向です。

 

カナダ

カナダ牛肉が日本に輸入される割合は4%。前述で紹介したアメリカやオーストラリアと比べると、日本へのシェアはまだまだ少ない状況です。カナダでは、仔牛の体重が300~350kgになると独自に配合した穀物を与えて育てます。仔牛の成長過程に合わせて餌を変えることで、引き締まった脂肪となり、風味豊かな柔らかい肉質を実現させました。それこそが「カナダビーフ」と呼ばれている牛肉です。

 

ニュージーランド

牛を飼育するのに適した冷涼な気候で知られているニュージーランド。日本への牛肉輸入量はわずか2%と低いながらも、「味は良い」ということでチェーン店などでも取り入れているところが多くなりました。ニュージーランドでは、自然に生育している牧草をそのまま与えるのではなく、一から人の手で牧草を作った上で飼育しています。

与えている牧草はイネ科の植物である「ライグラス」と、マメ科の植物である「クローバー」の2種類。栄養価の高い牧草で育てられた牛肉は、歯ごたえがあり、噛めば噛むほど牛肉本来の味を楽しめます。

 

 

国産牛とは?和牛との違い

牧草地のホルスタイン種

国産牛と和牛。似たような言葉のため、国産牛=和牛と思っている人も少なくありません。が、実はそうではありません。

基本的には、国産牛は日本で飼育・加工された牛のことを言い、和牛は、日本の在来種を基にして作られた食肉用の牛を言います。国産牛の中で最も多く飼育されているのが「ホルスタイン種」。ホルスタイン種は、雌が乳牛として、雄の仔牛が食用として出荷されており、他にもアンガス種や交雑種と呼ばれる種類があります。

一方の和牛には、黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種の4つがあります。黒毛和種は、一般的に広く知られている「黒毛和牛」のことで、日本で飼育されている90%以上がこの黒毛和牛です。

褐毛和種は別名「あか毛和牛(あか牛)」とも呼ばれ、主に熊本県や高知県で生産されています。日本短角種は、寒さに強い特徴もあり主に北海道や東北地方で生産されています。日本国内での飼育頭数が最も少ないのが、無角和種。ビジュアルとしても黒毛和牛よりもやや黒い見た目をしています。

 

和牛と輸入牛との違い

広大な土地で肥育される牛

和牛と輸入牛の大きな違いは、味と価格です。

和牛は、きめ細かく肉質も柔らかいのが特徴。口の中でとろけるようなまろやかさがあります。

一方の輸入牛は、きめが粗く、肉質も和牛と比べると硬いという特徴があります。また、輸入牛は冷凍での配送などが多くを占めます。

できれば国産牛である和牛を選んだ方が安心だと思っている人も多いとは思いますが、日本の牛肉輸入の割合は4:6と、割合的には輸入牛の方が口にされています。その理由はやはり価格の安さ。和牛と輸入牛の価格を比べると、和牛は輸入牛の約2.5倍。和牛が高騰している原因は、生産量が減少しているためです。

「和牛は高級なお肉」というイメージを抱いている人が多いのも、「生産が減っている=数が少なく希少価値が上がる」ということから繋がっているのではないかと考えられます。

 

 

【番外編】牛肉の輸入自由化

1991年に開始された牛肉の輸入自由化。アメリカの交渉により、日本はこの自由化をせざるを得ない状況となりました。

関税が安くなり値段の安い輸入牛肉が日本国内で流通するようになり、国産牛肉の値段が低く抑えられ、畜産農家の収入が減るなどの多大なる影響がでました。

しかしネガティブな側面だけでなく、畜産農家は輸入牛に対抗するために牛の肥育方法に工夫を凝らしていき、輸入牛の品質に負けないように努力しました。それがブランド和牛の誕生にも繋がったり、国産牛の品質向上ということにも繋がっているのです。

 

 

まとめ

輸入牛と国産牛の違いについて紹介しました。輸入牛と国産牛では、肥育環境や方法、飼料等もかなり異なります。また、牛肉の価格が高騰していることから安くて美味しい輸入牛を購入するということが当たり前の時代となりました。

輸入牛、国産牛それぞれ味の違いや肉質の良さなどは異なりますが、どんな料理に加えても満足できる美味しさであるということは間違いありません。ぜひ、肉質に合わせた調理方法で美味しいお肉をいただきましょう。