牛肉のドリップとは?適切な対処方法をご紹介!

牛肉のドリップについての説明

 

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牛肉から出る汁(ドリップ)とは?

ドリップが出ている牛肉

普段の生活において、お肉を保管している間、冷凍肉を解凍するときに「赤い汁」を見たことがあると思います。

サラサラとしており、一見血のように見えるこの液体(肉汁)は、「ドリップ」といわれるものです。ドリップの正体は肉の内部から分離して出る液体で、たんぱく質、ビタミン類などが含まれています。なおかつ旨み成分も含まれているので、ドリップが出てしまうということは、栄養が下がったり水分が減ってパサパサのお肉になり、品質が落ちてしまうということになります。

そのため、おいしくお肉をいただくためには、なるべくドリップを抑えることが必要となっていきます。ちなみに、解凍したときに出る汁を「ドリップ」と呼び、冷蔵したものから出る汁を「ウィープ」といいます。

 

牛肉からドリップが出る原因は?

お肉を冷凍すると、細胞ひとつひとつに入っている水分が凍ります。水を凍らせた際にできあがる氷が膨張しているように、水分は凍ると体積が増えます。それと同じ現象が肉の細胞中でも起きているので、急に温度が高い場所で解凍すると、溶けた肉の細胞が固い氷によって傷つけられてしまい、細胞が壊れて食材の内容物、いわゆる「ドリップ」がお肉からたくさん出てきてしまうというカラクリがあります。

このことから、お肉の細胞をどんどん壊してしまう”長期間冷凍”や、食品の中の凍っていた水分が勢いよく溶けさせてしまう”急速解凍”はなるべく避けたほうが良いでしょう。

 

ドリップの色を確認

ドリップには栄養素や、旨み成分がたくさん含まれていますが、その分雑菌が繁殖しやすい場所になります。

鮮度の新しいドリップはうすいピンク色の汁かほぼ無色になります。その場合はお肉と一緒に調理しても問題ありません(無論、お肉本来の美味しさや鮮度は戻りませんが…)。

ただし、赤黒い汁がでてきた場合は要注意です。時間がかなり経過したもので、一般的には腐りかけているということになります。その場合は「焼けば大丈夫」ということは考えず、できるかぎり破棄することをおすすめします。

 

牛肉のドリップを極力出さないためには!?

牛肉の旨味成分であるドリップを極力出さない方法はとても簡単です。ネット通販等で購入する場合は基本的に冷凍が多く、食べる前日に冷凍庫から冷蔵庫(12時間以上)に移すだけで大丈夫です。

じっくり冷蔵庫で解凍することでドリップを極力減らすことができるので、とても簡単です。

関連コラムはこちら↓
冷凍肉を上手に解凍する方法とは?

 

牛肉のドリップの処理の仕方とおいしく食べる方法

1.ドリップは捨てる

容器にたまるドリップ

前述の通り、ドリップは冷凍や、解凍時に壊された細胞から流失する液体です。いわゆる臭みと呼ばれる部分で、魚で言うと「生臭い汁」というのがわかり易いでしょうか。いくら旨み成分が含まれているといっても、一旦お肉から流出したものを細胞に戻すことはできませんし、それを旨味として利用することは不可能です。そのため、捨てることをおすすめします。

 

2.ドリップをきちんとふき取る

牛肉のドリップを拭き取る工程

ドリップは臭みのもとになります。もちろんお肉の調理の際にしっかり加熱をすれば、問題なく食べることができますし、そこまで神経質になる必要もありません。しかし、よりお肉をおいしくいただくためにも、キッチンペーパーなどでドリップを拭き取ってから調理に入りましょう。

お肉に「ぬめり」がある場合

キッチンペーパーで牛肉に付着したドリップを拭き取る際、ぬめりを感じたり、糸を引いたりした場合は注意が必要です。そのような場合は雑菌、いわゆる腐敗菌が増殖しているということ。菌が肉の中まで浸透していっている可能性が高いといえます。水で洗ったり、キッチンペーパーで拭くことにより、おそらくぬめり自体は取れるでしょうが、腐りかけの状態が緩和されるわけではありません。食べずに廃棄しましょう。

 

3.適切に冷凍or冷蔵保存する

適切な保存方法の牛肉

まとめ買いして、冷凍することの多い肉。 なるべく品質を損なわず保存しておくためにも、いくつか注意点があります。

まず、購入時のパックのまま冷凍しないということ。パックがお肉の冷凍時に断熱材の代わりになって温度が伝わりにくくなり、冷凍に時間がかかる原因になるためです。

あとは、お肉の下に敷かれていることの多い「ドリップ吸収シート」を取り除き、肉についたドリップはペーパータオルで拭き取ってから冷凍しましょう。スーパーなどでお肉を購入する際にドリップが出ていなくても、持ち帰る間の温度変化で出てしまう場合も十分あります。そのまま冷凍すると不衛生で、良いことがありません。

解凍後の肉の再冷凍は美味しさの点からも、衛生面でも避けることをおすすめします。

 

牛肉を美味しく食べる方法

加熱前の牛肉、野菜

解凍する際はしっかり芯まで室温に

ドリップの量を抑えるために重要なのは、なるべくじっくり、時間をかけて解凍すること。

料理の際は完全に解凍されきった状態よりかは、溶けきる直前、若干凍った部分が残っている状態で使うのが理想です。これにより旨味、栄養素などを閉じ込めた状態で料理を完成させることができます。

保存時と同様に、解凍時にも注意すべきことがあります。一番避けて頂きたいのが冷凍していたお肉を、冷凍庫から取り出し室温で常温解凍するということ。冷凍庫から室温へ移動させることにより温度変化が激しくなり、お肉の鮮度が落ち、傷みやすくなります。また、お肉表面に細菌が繁殖しやすいので控えましょう。ビニール袋に入れ冷水にさらして解凍する方法も、あまりおすすめできません。もちろん室温解凍ほど温度変化は激しくないですが、お肉の鮮度が落ちることは確実です。

これらを踏まえての解凍方法の理想は、氷水解凍です。冷凍肉をビニール袋に入れ(袋を二重にすることを推奨)、しっかり口を閉め、氷水を入れた容器などに浸けます。袋の中の空気はできる限り抜いておきましょう。氷水に浸すことでかなり低い温度で徐々にゆっくりと解凍されていき、ドリップ量を最小限にとどめることができます。

次点でおすすめなのが、冷蔵庫解凍 です。冷蔵庫の中は常に一定の温度に保たれており、ゆっくりと解凍することができます。氷水解凍が最も理想の方法ですが、冷蔵庫回答でもドリップや栄養素の流出量を比較的抑えることができます。もしもチルド室が付いていれば、そちらを活用しましょう。

 

塩は焼く直前に

塩を振って放置すると、お肉やお魚などの食材から水分が出てきます。この水分とともにうまみが流出してしまい、なおかつ焼いたときに固く、パサついた仕上がりになってしまいます。よって、塩を振って放置してもデメリットしかないので、肉を焼く直前に塩を振りましょう。

もうひとつですが、ステーキなどで胡椒をかける場合があるかと思います。この場合、塩と同じようにあらかじめ胡椒を振ってから焼いてしまうと、胡椒が焦げ、香りが悪くなるので避けた方が良いでしょう。焼き上がったお肉を食卓に運んで、そこで胡椒をかけていただくのが最も理想的な食べ方です。

 

しっかりと筋切りたたきをする

加熱前にお肉の赤身と脂の境界にある「筋」を切ることを「筋切り」と言います。ところどころ筋を切っておくと、その分、火を入れた際の収縮を抑えることができるので、お肉が反り返らず、きれいに仕上げることができます。加熱後のお肉をやわらかく仕上げるならば、肉全体の筋を万遍なく切ることがポイントです。

筋切りの際は、包丁の背でトントンと叩いたり、もしくは肉叩きのような専用の道具を使っても良いでしょう。フォークなどを使ってもいいですね。

 

まとめ

普段のお肉の調理において、目にすることが多いドリップ。お肉に対し適切な処理をすることで、完成した料理のクオリティを引き上げることができます。少し手間に感じる方もおられるかもしれませんが、一度騙されたと思ってひと手間をかけてみてください。恐らく違いを感じていただけるはずです。せっかくなので、すこしでも美味しくお肉を食べませんか?