A5?A4?どれが一番おいしいの?
焼肉店やステーキレストラン・スーパーなどで、牛肉の等級を示す「A5」や「A4」という数字が表記されていることが多いですが、どのような意味かわかりますか?
この「A5」や「A4」といった等級を決めて格付けしているのは、「日本食肉格付協会」です。この協会により、牛肉の格付けが行われています。
まず「A」「B」「C」というアルファベットの並びがあり、Aが「標準より良い」、Bが「標準」・Cが「標準より劣る」という意味になります。これを「歩留(ぶど)まり等級」と言います。
そして「5」・「4」・「3」などの数字は「肉質等級」というものを表し、この2つの組み合わせの15段階で牛肉の格付けがなされています。
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歩留まり等級とは、牛の生体や内臓、骨、皮など取り除いた枝肉から取れる肉の部分の割合を評価したものです。
枝肉は第6肋骨と第7肋骨の間で切断され、胸最長筋のカットした断面積・枝肉に対する部分肉の重量の割合から予測される数値を「歩留まり基準値」と呼びます。
歩留まり基準値72以上が「A」、69以上72未満が「B」、69未満が「C」となります。
そしてこのアルファベットが「歩留(ぶどまり)等級」となります。
歩留まり等級は「ランクB」が標準で、それ以上が「ランクA」、ランクB以下だと「ランクC」となります。そして、歩留まり等級は枝肉から食肉が多く取れるほどランクが高いことがわかります。
他のランクの指標としては、Aランクが和牛で、Bランクは和牛以外の飼育牛・ Cランクは経産牛と言われています。
ランクが高いといっても必ず美味しいとは限りません。なぜなら「肉質等級」と「歩留まり等級」を組み合わせて格付けが決まるからです。
肉質等級が高い=脂肪が多く、霜降りの部分が広い ということ。すなわち、肉質等級が高い=上質な脂質が多い ということです。
例えば「A5ランク」の場合、「肉質等級」が5で「歩留まり等級」がAになるので、霜降りがとても多い肉になります。
したがって脂が苦手な人には美味しい肉とは言えないので、「ランクが高いからといって必ず美味しいとは限らない」というわけです。
A5・A4のグレードで人気のブランド牛をご紹介!
松坂牛
松坂牛(まつさかうし)は、三重県松阪を中心とした地域で飼育された優秀な黒毛和種牛です。
戦前は「伊勢牛」と呼ばれていて、戦後は伊勢牛から特に優れた肉牛を、「松阪牛」と呼ぶようになりました。
「松阪牛」と呼ばれるためには、「松阪牛協会」が定義している条件を満たさないといけません。
松阪牛の多くは、兵庫県但馬地方の「但馬牛」を松阪の飼育農家が3年の歳月をかけて育て、出荷されます。
肥育方法としては、昔ながらの稲わらや大麦などの餌を与えるというもの。そして、牛の食欲を出すためにビールを与えたり、焼酎で身体をマッサージしていることなども有名です。
松坂牛は、キメの細かく美しい霜降り。肉質はとても柔らかく、脂はとても上品な甘味と香りがしており、海外でも人気を集めています。
そんな松坂牛はステーキや焼肉にすると肉本来の旨味が十分に感じられ、おすすめです。
但馬牛
但馬牛(たじまうし)は、兵庫県産の黒毛和牛のことで、兵庫県の北部にあたる但馬地方で飼育されています。
現在の但馬牛はすべて、兵庫県美方郡香美町小代区で生まれ育った「田尻」号の子孫で、但馬牛と呼べるのは、神戸肉流通推進協議会の基準を満たした牛肉に対してのみ許される呼称です。
もともと但馬地方の農耕用の牛で、兵庫県の1,000m級の急斜面の山で働いていたため、皮が薄く、皮下脂肪が少ない赤身と脂質のバランスがとても良いことが特徴です。
A5・A4肉を食べる場合は、しゃぶしゃぶやすき焼きなどの料理がすすめです。
特に肩の部位から取れる三角バラ肉は、1頭から2枚しか取れない希少部位であり、焼肉店で、極上カルビとしてとても人気です。
また、但馬牛の中でも太田牛は今話題のブランド牛です。
神戸ビーフ
兵庫県で生産されている「但馬牛」が枝肉となって出荷される際、「神戸肉流通推進協議会」が生肉の環境や血統・肉質など、厳格な一定基準を満たしているかを確認し、その基準をクリアしたものだけが「神戸ビーフ」という呼称を許されます。
まず但馬牛と名乗るためにも、世界一ともいわれる厳格な基準をクリアする必要があります。さらにその中から厳選される神戸ビーフは、世界最高峰の食用牛肉と呼んでもいいでしょう。
神戸ビーフは、世界のメディアでも「最も高価な9種類の食品」として取り上げられたことがあるお肉。
上質なサシが豊富に入っているので、こってりした味わいが特徴です。
肉本来の旨味や脂のジューシーさを楽しむために、ロースやサーロインを使って厚切りのステーキでいただくのがおすすめです。
米沢牛
山形県米沢市にある置賜地方3市5町の畜産農業で12ヶ月以上飼育され、「米沢牛銘柄推進協議会が」定めた一定の基準をクリアしている黒毛和牛のみが、米沢牛の名を冠することを許されます。
米沢牛は、寒暖の差が激しいと有名な盆地地帯の気候で育てられ、大豆やトウモロコシなどの上質なエサで育てられます。霜降りがとてもキメ細かく、溶け出す温度も低く、口の中で上質な脂と香りなどの味わいある食感が楽しめます。
そのなかでも霜降りがとても美しい肩ロースがおすすめで、すき焼きなどにして食べると脂の旨味を存分に味わうことができるでしょう。
近江牛
近江牛は、日本の食用牛肉の中で一番最古のブランドと呼ばれています。
日本の三大和牛(近江牛・松阪牛・神戸牛)は100年を超える歴史を持っていますが、その中でも「近江牛」は江戸時代から遡り400年の歴史があります。
近江牛は、赤身肉と脂身の絶妙なバランスのキメ細かいサシが特徴です。肉質も柔らかく、融点が低いため、口の中で美しいサシの旨味がとろけるでしょう。
おすすめの食べ方は、上質なロースを使ってのすき焼きでしょうか。霜降りで柔らかく、最高の甘味・旨味が感じられます。
熱を通しすぎると脂が溶け出してしまうので、お肉が桃色になるくらいのサッと火を通す程度がおすすめです。
まとめ
今回は、牛肉のグレードとA5・A4のおすすめブランドを紹介させていただきました。
A5やA4とグレードが高くても、誰しもが必ず美味しいと感じるとは限らないということがお分かりいただけたかと思います。
しかし一般的に、A5やA4と評価された肉は赤身の部分と脂身の質がとてもバランスよく、上質な旨味を感じることができます。
ひと口にブランド肉といっても、それぞれの肥育方法によって味わいが違います。
この記事を参考にしていただき、あなたに合ったブランド肉を使って牛肉料理を楽しんでくださいね。