ブランド牛の定義と種類・人気商品をご紹介!

ブランド牛の定義について

ブランド牛ってどんな牛肉?

様々な基準をクリアしたブランド牛肉

ブランド牛とは、全国各地の生産者団体がブランドごとに定めた基準をクリアした牛のことを指します。同品種の牛であっても、その基準をクリアしていないものはブランド牛を名乗ることができません。全国で共通の定義はなく、現在200種類以上のブランド牛が存在しています。
 

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『和牛』と『国産牛』の違い

赤身とサシのバランスが秀逸なブランド牛肉

『和牛』と『国産牛』は、同じような意味と思われることも多いですが、実は大きな違いがあります。

まず、和牛と名乗れるのは「黒毛和種」「褐毛和種(あか毛和種)」「日本短角種」「無角和種」の4品種および4品種間の交雑種のみに限られています。黒毛和種が約90%以上を占めており、和牛のほとんどが黒毛和種ということになります。

一方、国産牛は「日本国内での飼育期間が他国よりも長い牛」のことをいい、品種や産まれた国などに関わらず名乗ることができます。つまり、海外から輸入された牛でも国内での飼育期間の方が長ければ国産牛ということになります。

こういった決まりの中でも、さらに厳しい基準をクリアした牛がブランド牛です。

 

『A5ランク』が一番おいしい?

「A5ランク」

牛肉の『A5ランク』や『B5ランク』といった格付けは、「肉質等級」と「歩留等級」を組み合わせたもので決められています。

肉質等級とは、サシと呼ばれる脂の入り方・肉の色・質感などで評価され、1~5の5段階で数字が大きいほど高い評価となります。

歩留等級とは、食べられる部分肉の割合がどのくらいあるかで評価され、A~Cの3段階でAが最も高い評価となります。この格付けではA5ランクが一番高い評価ということになりますが、だからといって一番おいしい肉であるとは言えません。なぜなら、数字が高くなるほどキメの細かいサシが入り見た目も美しくはなりますが、脂身の苦手な方にはあまりおすすめできないからです。

また、B5ランクであれば部分肉の割合では劣りますが、肉質ではA5と同じ評価であるため十分おいしい肉であることになります。

 

人気ブランド牛5選!

ブランド牛肉盛り合わせ

<松阪牛>

松阪牛は、柔らかな肉質で脂がとろけるような食感が特徴です。うまみを含んだ上質な脂肪は、口どけが良く深みのある上品な香りが広がります。

三重県松阪市などの生産地域で飼育され、松阪牛個体識別管理システムによって36項目のデータが管理されています。このデータは、三重県松阪食肉公社の職員が牛舎に出向き、直接確認しているため、非常に信頼性の高いシステムとなっています。

松阪牛の定義には、松阪牛個体識別管理システムに登録されていること、生後12か月以内に導入された黒毛和種であること、松阪牛生産区域で最長・最終飼育されていること、出産をしていないメス牛であること、などが明確に定められています。

 

<米沢牛>

米沢牛は、口の中でとろけるような食感と柔らかな肉質が特徴です。うまみや香りのある上質な脂肪がキメの細かい霜降りとなって、深い味わいを感じられます。

山形県の置賜地方で飼育され、その土地の水田で作られた米の稲わらを食べて育ちます。自然豊かな土地ならではの餌から、甘みのある上質な脂肪が作られています。

米沢牛の定義には、置賜管内三市五町に居住し、米沢牛銘柄推進協議会が認定した者が飼育者であること、登録された牛舎での飼育期間が最長であること、生後32か月以上のもので肉質等級が3等級以上であること、黒毛和種の出産をしていないメス牛であること、などが定められていて、すべてをクリアした枝肉には証明印が押されます。

 

<近江牛>

近江牛は、キメの細かい肉質で柔らかくとろけるような食感が特徴です。甘みのある脂肪と芳醇な香りは料理人からも高く評価されています。

歴史は400年以上とブランド牛の中でも特に長く、その中で肉質の改善が繰り返されて優れた霜降り肉が生まれました。滋賀県で飼育され、琵琶湖の水を飲んで育ちます。

近江牛の定義は、滋賀県内で飼育された期間が最長の黒毛和種であること、のみ。その中でも枝肉の格付けがA4・B4等級以上のもの、近江牛生産流通推進協議会の構成団体会員が生産したもの、滋賀食肉センターか東京都立芝浦屠畜場で屠畜・枝肉の格付けがされたものには、特に品質の高い近江牛として認定書や認証シールが発行されます。

また、2017年12月15日には地理的表示(GI)に滋賀県の産品としては初めて登録されました。

 

<但馬牛>

但馬牛は、細かくて小さなサシが一面に散在していて、マグロのようなあっさりとした脂が特徴です。食感・香り・味などの質がとても良く、良質な筋繊維を持っていて赤身と脂身のバランスが優れています。兵庫県の豊かな自然に囲まれ、静かな環境でストレスなく大切に育てられます。

但馬牛の定義は現在では少し狭められていて、兵庫県産の黒毛和種であること とされています。また、1,300年もの歴史を持つ但馬牛は、神戸牛・松阪牛・近江牛などの日本三大和牛を含めた全国のブランド牛の素牛とされており、全国の黒毛和牛の90%以上に但馬牛の血が流れていると言われています。

兵庫県産の但馬牛が競り等で落札、買い取られ、全国各地の生産者の育て方や定義によって違った特徴を持つ別品種のブランド牛となるのです。特に但馬牛の中でも太田牧場で育てられたブランド牛「太田牛」はおすすめです。

 

<佐賀牛>

佐賀牛は、柔らかい肉質で風味の良い甘さとコクのある味わいが特徴です。「艶サシ」と呼ばれるキメの細かいサシが赤身の中に施されていて、美しいピンク色に見えるほどに綺麗な霜降り具合です。

寒暖差が少なく、牛にとって恵まれた環境の佐賀県で飼育され、名水百選にも選ばれた天然水で育ちます。BSE検査システムや個別識別番号による検索システムが導入されていて、番号を打ち込めば消費者でも詳細を確認することができ、信頼性を高めています。

佐賀牛の定義は、仙台牛に次いで全国2番目の厳しさだと言われています。「佐賀県農業協同組合(JAさが)管内の肥育農家に飼育されている黒毛和種であること」、「肉質等級が4等級以上であること」、「BMS(霜降り具合などの評価)がNo.7以上であること」などが定められています。また、肉質等級が2~4等級でBMSがNo.2~No.6のものは「佐賀県産和牛」と呼ばれ、佐賀牛に次ぐ佐賀県産のブランド牛として区別されています。

 

外国産和牛  – 「WAGYU」って?

「黒毛和種」「褐毛和種(あか毛和種)」「日本短角種」「無角和種」という品種を「和牛」と呼ぶことを先にお伝えしました。これらは 上質な肉質、鮮やかな霜降り、もちろん味わい等、すべてが備わっており、日本が国をあげて守らなければならないとても商品価値の高い存在です。

かつてとある男性が、和牛の受精卵を国外に持ち出そうと試み、農林水産省が刑事告発するという事件もありました。こういった受精卵や精子の流出は、日本の畜産業界に大打撃を与えると危惧されているのです。

しかしすでに海外では、日本が誇る和牛が「WAGYU」というネーミングで大流行しています。この「WAGYU」は、和牛の本家日本が世界に向けて打ち出しているプロモーションや商品などではありません。日本産和牛ではなく、海外産和牛が「WAGYU」なのです。

研究用途でアメリカに渡った和牛の精子と胚が流出してしまったことが、WAGYU誕生の背景にあります。そこからオーストラリアが本家の和牛と交配させた品種を「WAGYU」とし、世界に輸出するようになったのです。

もちろん本家日本の「和牛」ほどの品質ではないですが、十分なおいしさは実現されているため、大流行しているという状況があります。

もちろんこのWAGYUは、日本にも入ってきています。しかし、国内の畜産業を盛り立てるためにも、私たちは安全管理も、品質も申し分ない日本産和牛を応援する必要があるのではないでしょうか。

 

 

まとめ

今回はブランド牛の定義と種類をご紹介しました。ぜひ、様々なブランド牛を食べ比べてみて違いを試してみましょう!