人気急上昇中の低温調理とは?
今人気の低温調理とは温度が95度以下で、じっくりと時間をかけて加熱していく調理方法です。一般的に低温で焼いているイメージが強いかと思いますが、蒸す、発酵なども低温調理に向いている調理方法になります。
お肉を低温調理するとどうなる?
厚いステーキ肉を焼く場合、表面に美味しそうな焼き色が付いたと思ってカットしても中は超レア状態ということがよくあります。だからといって中まで火を通そうと加熱すると固いお肉になっていまいます。
しかし、低温調理では温度をうまく調整することで、表面と中心部で均一に加熱することができます。
さらに、柔らかくジューシーに仕上げることができるというワケです。
低温調理のメリット
メリット1:均一に火が通る
先ほど述べたように、肉を高温で焼く場合、表面と中心部で温度差があることから表面がこんがり焼けていても、中心が生の状態だったりします。肉が加熱できる程度の低温で調理することで、表面と中心の温度の差がほとんどなくなり、均一に加熱できます。
メリット2:柔らかくジューシーに仕上がる
高温でお肉を焼いた場合、水分が抜けたんぱく質が固まり弾力のあるお肉になってしまいます。しかし、低温調理することでたんぱく質の凝固を防ぎ、肉汁が外に出ず旨味を中に閉じ込めることで、簡単に柔らかくジューシーに仕上がります。
低温調理の温度、時間
お肉の場合心配なのが表面だけ焦げ目だけがつく生焼けや食中毒です。63℃で30分の加熱で、寄生虫などの食中毒を起こす菌は死滅すると言われています。
温度目安で、50~55℃でレア。60~65℃でミディアム。70℃以上がウェルダンとなります。
使用する低温調理器によって温度帯は変わってくるかと思いますので、説明書でしっかり確認する必要があります。
低温調理のやり方
低温調理を行なう場合、低温調理器具を使う方法、湯せん、炊飯器があります。
低温調理器を使う場合
用意するもの:鍋、ジップロック
① お肉にお好みで下味をつけます。(科学的にはお肉の重さに対して0.8~1-%が人間の舌に合うと言われています。)
② 水を入れた鍋に低温調理器を入れ、好みの温度・時間を選択しスタート。目標温度になったらジップロックに入れたお肉を投入します。
③ 低温調理器が完成したら、ジップロックから取り出してフライパンで表面をこんがりと焼きます。
④ あとは好みでカットし、ソースをかければ完成です。
湯せんの場合
用意するもの:鍋などの水と食材が入る容器、ジップロック、温度計
① お肉に下味をつけ、ジップロックに入れます。
② 容器に半分くらい水を入れ沸騰させます。
③ もう半分、水を入れます。温度が60℃くらいになるように温度計で測りながら調整します。(熱湯に水を入れることでだいたい60℃~50℃くらいのお湯になります。)
④ 容器の中にお肉を入れます。そのまま1時間以上つけておきます。
⑤ 袋からとりだし、焼き色をつけたら完成です。
炊飯器の場合
用意するもの:炊飯器、ジップロック、温度計
① お肉に下味をつけ、ジップロックに入れます。
② 炊飯器の釜に水を入れ、保温モードにします。温度計で60℃前後になるように調整します。炊飯器によって保温モードが2、3種類ある機種もあるので確認してください。
③ 釜の中にお肉を入れます。後は湯せん同様1時間以上そのまま入れておきます。
④ 袋からとりだし、焼き色をつけたら完成です。
食中毒を避けるために気をつけたいこと
牛肉の低温調理に限った話ではないですが、調理において食中毒のリスクはなるべく排除すべきもの。これまでも少し触れてきましたが、押さえておきたいポイントを挙げておきます。
・新鮮なお肉を使用する(なるべく信頼できるお店で購入しましょう)
・賞味期限に余裕があるお肉を選ぶ
・調理器具はしっかり洗浄を
・保存袋や真空パックは新しいものを使用する(使い回し厳禁)
・低温調理完了後、すぐに食べる際は90分以内に。保存する場合は、急冷(氷水等で)し、5℃以下に保たれている環境で保存する
以上のポイントを踏まえ、ハラハラせずに安心しておいしい料理に舌鼓を打ちましょう。
牛肉の低温調理におすすめな部位
シャトーブリアン
一度は聞いたことがある、幻の部位とも言われる最も希少価値が高い部位です。
運動量が少ない部分になりますが脂身が少なく、赤身がとても柔らかくジューシーなお肉です。
お店で出されるシャトーブリアンのステーキは、鉄板でゆっくり焼かれることが多いです。自宅で鉄板調理のようなじっくり焼きは難しいため、低温調理でのステーキがおすすめです。
サーロイン
シャトーブリアン同様運動量が少ない部位です。赤身が柔らかいですが、脂身が多いのが特徴です。
赤身は柔らかく、脂身にはあまみがあり、よく言われる口に入れると「とろけてなくなる」と表現される部位です。おすすめの食べ方は、赤身の柔らかさ脂身の甘さを味わうために、レアで食べるのが一番美味しいとされているため、低温調理でのステーキがおすすめです。
内もも肉
赤身がほとんどで脂身が少ない部位です。しかし、運動量の多い場所で筋肉質なので、赤身は固く弾力があります。牛の部位から最も多くとれる場所でもあり、リーズナブルに手に入り、ひき肉はほとんどがもも肉から作られています。
亜鉛やビタミン、たんぱく質などの栄養価か高い部位でもあります。
鍋でも焼いても、煮込みでも美味しくできる万能な部位ですが、一番のおすすめはローストビーフです。
冷めても脂身が少ないためお肉が固くならず、美味しく食べられます。初めてローストビーフに挑戦する方にも扱いやすい部位でもあり、手に入りやすいことからも、もも肉がおすすめです。
牛肉の低温調理におすすめのレシピ
ここでは人気の低温調理でおすすめのレシピをご紹介!
ローストビーフ
用意するもの:好きな部位のお肉の塊、ジップロック、下味用の塩・胡椒、ソース用のワイン、醤油、バターなど好みで
低温調理方法はジップロックを入れて取り出し、焼き色を付けるところまでは同様です。
① 焼けたお肉は、アルミホイルやタオルなどでくるみ30分~1時間程置きます。
② 好みのソースをつくり、時間が経ったらお肉をカットし盛り付ければ完成です。
ユッケ
実はユッケも低温調理で作ることができます。部位はモモ肉などを利用します。
①塊肉をそのままジップロックなどで密封状態を作り、約60度で2時間ほど湯せんをします
②袋のまま氷水に入れて冷やした後、5㎜程度の細切りにします。
③ごま油と塩で味付けして、黄身を添えれば完成です。
少し自分で作るのが怖い方は、生食用食肉取扱施設で作られた、解凍するだけで食べられる冷凍のユッケも販売しています。
タリアータ
見た目はローストビーフとほとんど同じですね。ローストビーフは中まで加熱されていますが、タリアータは超レア状態の料理です。
用意するもの:好きな部位のお肉の塊、ジップロック、下味用の塩・胡椒、ソース用のワイン、など好みで低温調理の方法は上記と同様ですが、温度を低めの55℃で約2時間30分置きます。
① 取り出したら、焼き目をつけカットしたらソースをかけて完成です。
ビーフシチュー
用意するもの:角切り肉(赤身が多めの部位がおすすめ)、ジップロック、にんじん・たまねぎなどの野菜類、ニンニク、ローリエ、デミグラスソース、ケチャップ、赤ワイン、バター
① 野菜とニンニクは細かく切るかフードプロセッサーにかけます。
② ワインのアルコールを電子レンジでとばしたら、材料をすべてジップロックの中にいれます。
③ 温度が75℃~85℃程度になったらジップロックを入れ7時間ほど待ちます。
④ 低温調理が完成したら器に盛り完成です。
まとめ
お店が行うような調理で、手間も時間もかかるだろうと思われがちな低温調理。確かに時間はかかりますが、温度加減さえ間違えなければ、基本は簡単で放置していればお肉の味を劇的に変えることができます。調理器を使用する場合は説明書等の指示通りにすればよいですが、湯せんや炊飯器で調理する場合は、安全のため食中毒に気をつけて調理して下さい。
外食もあまりできず自炊する機会が増えた今だからこそ、時間をかけて料理してみるのも良いかもしれませんね。