牛肉の”サシ”とは
牛肉の紹介に「サシが入っている牛肉」という表現をよくみかけます。でもこの「サシ」って一体何なのか、みなさんご存じでしょうか?
肉の味を左右する大切な要素、サシについて解説するとともに、サシのキメが細かい人気の部位をご紹介いたします。
「サシ」とは牛肉の赤身と赤身の間に入った脂肪のことです。ただし、脂身のようなかたまった脂肪はサシとは呼ばずに、赤身肉に模様のように入ったもののみをサシと呼びます。
一番、サシをイメージしやすいのは霜降り肉です。赤身肉に霜が降ったようにサシが入っていることから霜降り肉と呼ばれています。
他の呼び方では脂肪交雑と呼びます。これは食肉業者などが使う専門用語で、赤身肉に脂肪が交雑している(混ざっている)ことからこう呼ばれます。英語ではマーブリングと呼ばれます。大理石のことを英語でマーブルというので、大理石のように模様が混じり合っている様からマーブリングと名づけられました。
赤身肉に脂肪が模様のように入るのは豚や鶏には見られないため。「サシが入った」と表現されるのは、基本的に牛肉のみとなります。
サシの入り具合は牛肉の格付け基準にもなっており、B.M.S(ビーフマーブルスタンダード)と呼ばれ、サシの入りが細かい方がより良い牛肉(A5、A4ランクなどの高ランク)とされます。
同じ牛でも部位によってサシが入りやすい部位とサシが入りにくい部位があり、サーロイン、リブロース、肩ロース、バラ、ミスジがサシの入りやすい部位とされています。まれにモモ肉にサシが入ることがありますが、それはごく稀。かなり上質な牛肉のみに限られます。
サシが牛肉に入っていることによる利点はいくつもあります。例えばサシが入った肉は脂の甘味を味わうことができます。
また、脂が融けることで焦げにくくなるため、自宅でステーキ肉を焼く際にはサシが入った肉の方が上手く焼けるでしょう。
贈り物や大切な日のお祝いにはサシが入った牛肉がおすすめです。なぜならサシが入っていること自体が牛肉の格付けの基準となっているため、サシが入っていることでそのお肉が高級であることを相手に知らせることができるからです。
サシが入っている牛肉は柔らかい?
サシが入っている牛肉は脂が熱によって融けることで、やわらかい食感を楽しめます。
特に小ザシと呼ばれる小さいサシが散らばった霜降り肉はやわらかいとされているので、やわらかい牛肉を食べたいときの基準となります。
なぜ黒毛和牛にはサシが多くはいっているのか
スーパーで牛肉を見ているとサシが綺麗に入っているのは黒毛和牛のみであることがわかります。なぜ他の牛にはサシが入らず、黒毛和牛にのみサシが入り込むのか、それはサシがどのように入るかはほぼ血統によって決まるからです。
日本の和牛は品種改良していく中で4頭に絞られ、その中で「田尻号」という牛は肉質が良く、サシがよく入りました。
現在の黒毛和牛はほとんどその田尻号の血を引いているため、サシが入っています。
ただし生育環境によってもサシが入るかどうかが変わってきます。サシとは脂肪なので、牛の体の中に脂肪分がしっかりと行き渡るように飼料が与えられなければ、サシは入りません。日本の黒毛和牛がいかに大切に育てられているかがわかります。
また、サシの多さももちろんですがブランド牛によっては、上質な飼料や特別な飼料を与えることによってオレイン酸等の量を増やし脂肪の融点(溶ける温度)を低くしています。そのため、口の中の温度で溶けるようなブランド牛もあります。
サシが多く入っている牛肉の部位
リブロース
リブロースは牛の肩より少し後方に存在する部位。一番サシが入りやすい部位で、焼き肉屋さんではロースとして人気の部位になっています。
肉質はやわらかくて、脂がしっかり入っていながら赤身の旨味もしっかりと感じられる部位なので、焼肉はもちろんのこと、ステーキやすきやき、しゃぶしゃぶ と幅広い料理に合います。
サーロイン
サーロインステーキで有名な牛肉の中でも、高級部位なのがサーロインです。肉質はとてもやわらかく、サシがしっかりと入った霜降り肉で、厚く切ったステーキにすることで肉の中に肉汁を閉じこめたまま調理することができます。
おすすめの調理方法はもちろんステーキですが、すきやき、しゃぶしゃぶ、焼肉にしても美味しい部位です。名前の由来はイギリス王があまりの美味しさにサーの称号を与えた事から名づけられました。ロインは腰の肉という意味でサーロインが取れる場所を表しています。
三角バラ
三角バラは焼肉で人気の部位です。牛1頭からわずか1kgしか取れない希少な部位でバラの中では一番高価です。肩バラの一部を切り取るとちょうど三角形になることから名づけられました。
サシが綺麗に入っているやわらかい肉質で濃厚な旨味と甘味を持っており、焼肉店では特上カルビやサンカクなどという名で提供されています。おすすめの調理方法は焼肉です。
イチボ
イチボはランプ肉と呼ばれる、牛のモモ上部の部位に含まれています。ランプ肉の中でも牛のお尻に近い部分だけがイチボで、サシが入っていながらさっぱりとした味わいで人気の部位です。
おすすめの調理方法はステーキ、焼肉、ローストビーフです。
他に、ブラジル風BBQであるシュラスコではピッカーニャという名前で1番人気の部位になっています。いずれも肉の味をそのまま活かした調理方法ですね。
サシが入っている部位は牛の部位の中で高価格帯の部位がほとんどなのですが、イチボはそこまで高くないので、食べやすい部位でもあります。
ミスジ
牛の腕に当たる部分は肩肉やブリスケなど硬い赤身肉の部位が多いのですが、ミスジはしっかりとサシが入っていてやわらかい肉質です。
牛1頭からわずか3kgしか取れない希少部位で奥深い味わいが楽しめます。おすすめの調理方法は、焼肉、しゃぶしゃぶ、ステーキなど肉の美味しさをそのまま味わえるもの。ミスジの味そのものを味わってください。
サシが美味しい人気ブランド牛通販商品3選
ここでは霜降りのサシが美味しい人気ブランド牛通販商品を3つご紹介!
【仙台牛】1ポンド特大サーロインステーキ 1枚(約450g)【最高級A5ランク】【無添加】【送料無料】
内容量 | 仙台牛サーロインステーキ 1枚(約450g) |
価格 | 13,000円 |
サシをしっかり感じて楽しむなら、仙台牛のサーロインステーキがおすすめ!約1ポンドととても大きなサーロインのステーキを楽しめます。仙台牛は日本で最も厳しい規格といわれているため、安心して楽しめます。
1枚の巨大なサーロインなので、ギフトにもおすすめの一品です。
【千屋牛】【焼肉用】焼肉盛り合わせセット(ロース・モモorカタ)500g【最高級A4・A5ランク】
内容量 | 焼肉盛り合わせセット(ロース・モモorカタ)500g |
価格 | 7,760円 |
サシがたっぷり入った霜降りロースと赤身肉のモモ・カタを食べ比べしながらサシの美味しさを楽しむなら千屋牛の焼肉盛りがおすすめ。日本の黒毛和種のルーツである千屋牛を焼肉で楽しんでみましょう。
【神戸ビーフ】【すき焼き用】サーロイン(スライス)500g【最高級A5ランク】【送料無料】
内容量 | 神戸ビーフすき焼き用サーロインスライス 500g |
価格 | 10,120円 |
A5ランクの神戸ビーフのサシたっぷりのサーロインのスライスをすき焼きで楽しめます。ギフトにもおすすめの一品なので、ぜひ味わってみましょう。
牛脂注入肉って?
牛脂注入肉をご存知でしょうか?
これは「インジェクションビーフ」、「霜降り加工肉」とも呼ばれるお肉です。
どういうものかというと、脂、いわゆる霜降りのない赤身肉に水・牛脂・添加物を混ぜ合わせたものを注入し、霜降りを人工的に入れたお肉のことなんです。
この加工により硬い赤身肉であってもサシが入って、天然ではありませんが、柔らかい霜降りのお肉が完成するというわけです。
このお肉は安価なステーキ屋やファミリーレストランなどで提供されることが多く、私たちが普段外食で口にしている牛肉も、もしかしたらこの加工肉である場合も。
お店で提供する際は、メニュー表などにしっかり「牛脂注入(インジェクション)加工したお肉」であることを明記する必要があり、「さし入りビーフステーキ」「霜降りビーフステーキ」などという判断がつかない名称での提供は景品表示法により禁止されています。
もちろんこれが良い、悪いといった話ではありませんが、外食で牛ステーキなどをいただく際はチェックしてみてくださいね。そして、牛脂注入肉と天然の霜降り肉の違いを味わってみてください。
まとめ
サシとは一体何なのか、サシが牛肉の味や食感に与える影響について解説しました。サシにも種類があり、やわらかい牛肉を見極めるのに重要な要素です。
そして、サシが多く入っている牛肉の部位5選を紹介しました。どれも本当に美味しい部位なので、スーパーやお肉屋さんで見かけたらぜひ購入して下さい。それぞれに適した調理方法も紹介したので、サシが入った牛肉の美味しさを最大限活かした料理を味わいましょう。