東京にもブランド牛がある?
牛肉の種類は豊富です。その中でもいわゆる”ブランド牛“と呼ばれるものは、あらゆる意味で格別ですよね。飼育方法や飼料などから生まれる味は絶品で、美味しいの一言では言い尽くせない高級な味わいがあります。そして気になるお値段もまた然りですね。
ブランド牛といえば、真っ先に思いつくのはどんな銘柄でしょうか?松阪牛、神戸牛、近江牛などは高級ブランドとして名を馳せています。
全国都道府県各地には、それぞれ個性をもつブランド牛が存在しています。とはいうものの、まさか大都会東京にブランド牛はいないだろうと思う方は、少なくありません。しかし実は、ファンの多い、知る人ぞ知るとてもおいしいブランド牛が東京にも存在するのです。
今回は、そんな東京で人気のブランド牛の全てをお伝えいたします。
東京都産唯一のブランド牛「秋川牛」!
東京というと人口密度が高く、ビルばかりで自然とは無縁の大都会。そういったイメージがどうしても焼き付いていますよね。しかし驚くことなかれ、東京にも「秋川牛」という、すばらしく美味しいブランド牛が存在します。
それでは秋川牛の全貌をご紹介しましょう。
秋川牛とは?
数あるブランド牛の代表格である米沢牛や松阪牛と同様、岩手県産の牛が素牛となります。岩手水稲地区で生後10ヶ月の子牛を買い付け後、約20か月間飼育されます。そして、黒毛和牛の誕生となります。出荷は月に10等以下という稀少価値があり、“幻”ともいわれる高級ブランド牛です。
生産地
東京のあきる野市(平成7年に秋川市と五日市町が合併)の菅生(すがお)にある竹内牧場にて育てられます。東京でも数少ない自然あふれる地域、あきる野市は“里山”と称され、ブランド和牛を肥育するにはうってつけの土地です。
マス釣りでも有名な秋川渓谷からの清流が、牧場にも湧き水として流れ入ります。そんなミネラルを多く含むお水を飲み、また、渓谷の影響から風通りが良いため、秋川牛は通年過ごしやすい地域の中でのびのびストレスフリーの環境で育てられています。そのような環境下の牛たちは鳴くことがほとんど無く、穏やかに育ちます。
生産元
あきる野市菅生の竹内牧場。200頭以上の秋川牛を飼育し、1ヶ月あたり10頭をブランド和牛として出荷しています。
竹内牧場は約40年の経営歴を持ちます。牧場を始めたころは、酪農業として乳牛を生育していました。と同時にオスの肉用出荷を開始し、やがて肉牛牧場に変えていったようです。
岩手から子牛を仕入れ、本格的に黒毛和牛を出荷するようになり、現在では、軟らかくて繊細な肉が得られるメスだけを飼育しています。
自然環境が牛の生育に適しているのはもちろんですが、徹底した衛生管理や飼育生産の長年の研究、技術、そして牛に対する愛情と情熱をふり注ぐ竹内牧場。その結晶が秋川牛です。
飼育法
竹内牧場は、多摩川の源流である奥多摩湖や秋川渓谷に囲まれています。そのような自然豊かな場所で生育される秋川牛。どのように飼育されているのでしょうか。
秋川牛の飼料
藁はもちろんのこと、非遺伝子組み換え、無農薬トウモロコシや米ぬか、米など、80%以上配合された穀物類がメイン飼料です。
これらが、秋川牛が良質な肉質となる要素と言えます。
秋川牛のお水
食欲をかきたてるために、ビールなどで飼育される銘柄牛は数多あります。しかしこの秋川牛は、奥多摩地域の雪水や雨水によって秋留台地から湧き出る天然水をたっぷり飲んでいます。
これが秋川牛の臭みのない、おいしい味の秘密とも言えます。
秋川牛の誕生の歴史
秋川牛の姿を様々な角度からお伝えしていますが、そもそも秋川牛はどのように誕生し、東京のブランド牛と化していったのか。その歴史に迫ってみましょう。
地域周辺の町おこしの物産開発の取り組みとして、一店舗一物産を推進していこうという企画がきっかけとなり、そこで生まれたのが秋川牛です。
創業70年以上にもなる老舗「松村精肉店」が、当初この地域取り組みの中で、価値ある商品を模索していたところに出会ったのが、「竹内牧場」でした。(その頃竹内牧場は、農産物生産直売所で地域特産牛肉“秋川牛”を提供していました。)
その後「荒木畜産」を含め、三社協力のもとに誕生したのが、ブランド“秋川牛”です。2008年に正式に東京食肉市場において、”銘柄牛“として登録もされています。
⇒秋川牛(あきかわぎゅう)の詳細はこちら
秋川牛の特徴
東京のブランド牛として生まれた秋川牛。その歴史的背景や、実際の飼育方法等の全貌がお分かり頂けたかと思います。それでは実際にどのような美味しさがあるのか、どのような点が注目されているのかなど、秋川牛の特徴を4点に絞ってお伝えします。
1. 味
秋川牛はさっぱりしていて、しつこさが全くありません。牛肉の部位にもよりますが、この秋川牛は脂身と赤身のバランスが程良いため、サラッと清々しい肉質であることが特徴と言えます。
ストレスに晒されない環境はもちろん、安心・安全な飼料と菅生の湧き水で育てられた結果の表れと言っても過言でありません。
2. 食感
赤身に絶妙加減の脂肪(白いサシ)が入った霜降り肉の秋川牛は、口に入れた瞬間に柔らかさを感じます。カルビにおいては、噛むほど味わい豊かで最高の食感です。さっぱりとした旨味がキレのある脂質と相まっているため、女性にも人気があります。
3. コスパの良さ
格付けランキングにみる秋川牛は、常にA4~A5を維持しています。ちなみにA5ランクは、“最高品質”が保証されているに値します。そんな最高級肉でありながら、コスパが良いと評判です。
地産地消の牛肉として食される秋川牛は、新鮮な状態で輸送されます。ブランド牛といえども、身近に感じて欲しいという願いから価格を抑えて提供されているのもありがたいですね。
4. 食べ方
秋川牛の新鮮さをおいしく味わうには、”レア”がおススメです。脂のしつこさがなく、口溶けよい食感に思わず舌鼓を打つでしょう。また、レアステーキも格別です。色々な部位を楽しみたい方には、焼き肉は最高です。”カルビ”は柔らかさと肉汁の旨さを堪能できるでしょう。サッパリ頂きたいときには”ヒレ”を、高級感を味わうには”サーロイン”など、様々な食べ方ができます。
他にもある東京産のブランド牛
年間の出荷頭数は100頭前後と少ないですが、東京黒毛和牛というブランド牛も東京にはあるんです。定義としては東京で一貫して飼育される但馬牛を両親に持つブランド牛の事を言います。
また、等級は3等級以上と決められており、海外にも輸出されている東京発の人気ブランド牛です。
⇒東京黒毛和牛(とうきょうくろげわぎゅう)の詳細はこちら
まとめ
いかがでしたか?自然とは無縁とも思われがちな東京で、ブランド牛がいただけるなんて知らなかった!でも高級ブランドであれば、手が届かないし諦めよう・・・という思いは、全て払拭できたのではないでしょうか?
秋川牛の美味しさは、自然の恵みと生育環境と牧場経営者の愛情の全てが一つになった賜物であるといっても過言ではありません。
是非、この素晴らしい東京ブランドの秋川牛を召し上がってみてはいかがでしょうか。